唱歌「雪」

 雪が降ったある年の冬、皇居の二重橋をカメラに収めようとかなり早く家を出た。着いてみると雪の量は10センチはくだらない深さで積もっていたが、すでに先着が大勢撮影して帰った後で、足跡が八方に延びていた。
 皇居前の広場は写しても足跡ばかりになって面白くないから、なるべく近景は避けてカメラに収めた。それなりに撮れてはいたが、プロに任せておけばよいとその頃から思うようになり、自分で取ることはほとんどしなくなった。
 近頃は、デジタルカメラや携帯電話のカメラ機能を利用して撮っている人が多いが、撮ってどうするのだろうと人ごとながら思う。
 でも、雪景色に出会うと写したくなるのが人情だろう。そして、大抵の人は、雪景色が露出など一番難しいのを知るのである。
 雪の朝 二の字二の字の 下駄のあと うろ覚えだがこんな俳句があった。落語に「雑俳」というのがあり、春風亭柳昇も面白いが三代目三遊亭金馬のものがもっとも笑わせると思う。確かこんなのがある。かなりの字余りというよりはめちゃくちゃなところが面白い。「雪の朝 大坊主と小坊主が 一緒に転んで お供えかな」大きな頭と小さい頭で雪にお供えの跡が出来たというのである。
 落語はバカに出来ない。「~や、~かな」は一句の中に同時に使えないというのも、金馬の「雑俳」が教えてくれた。今年はいつ東京に雪が降るだろう。


   雪

1 雪やこんこ 霰やこんこ
  降っては降っては ずんずん積もる
  山も野原も綿帽子かぶり
  枯木残らず花が咲く

2 雪やこんこ 霰やこんこ
  降っても降っても まだ降りやまぬ
  犬は喜び庭駈けまわり
  猫は火燵(こたつ)で丸くなる


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